2020年3月5日木曜日

第六運の出来事(大型バス運転の仕事)

■第六運の出来事(大型バス運転の仕事)

第六運の前回までの記事


■大型バス運転の仕事に就く
(猛烈なパワハラに遭う)

新聞店を辞めてから職探しに奔走するのですが、なかなか仕事は見つかりません。
実は、新聞店在職中に社長交代で自分は新社長に嫌われていると感じ始めて、もし辞めるようなことが有ったのなら、どんな仕事に就けば良いのだろうと考えた時に、歳をとっても出来る仕事という意味で送迎バスの運転などを考えていました。

そう考えた理由は、韮崎市の大型バスに高齢のドライバーが、何台も小学校の生徒の送迎をしているのを見たからです。
市のバスの運転なら一応、準公務員的で収入は少なくても安定しているだろうし、ノルマも無くてのんびりしていて年寄り向きと感じました。

そこで、新聞店の仕事の合間に密かに大型二種の免許を取りに教習所に通っていたのです。大型バスの運転は実に楽しいです。まずぶっ飛ばす必要がありません。ゆったりと運転ですから。飛ばしたり急ハンドル、急ブレーキなど「急」が付く運転はご法度ですから。それはそれは、のんびりと悠々とした気分で運転すれば良いのです。王様になった気分です。


そして大型二種の免許を取得して新聞店を首になりました。
内心、待ってました。とばかり市役所のバスの運転に関する問い合わせをしました。
ところがです。

市のバスの運転をするのには「市の職員と縁故関係」が無いとダメと門前払いでした!
えっ! と腹が立ちました。市の仕事には縁故関係?
それって不公平じゃないのか!

いろいろ掛け合いましたが、やっぱり駄目で諦めてタクシー運転手に応募しましたが、何処に応募しても〇〇新聞店に居たというだけで不採用でした。裏から悪い話が広まっていたようです。

仕方なく遠方の街の、民間の観光バス会社に応募して採用が決まりました。
そのバス会社は路線バス以外に観光バス、会社関係の送迎バス、冠婚葬祭の送迎もやっていました。
バス会社に採用後には一カ月の路上研修を済ませ、単独での路線バスの運転業務に就きました。
「他所の畑は青く見える」という諺がありますが、これって他所の事は良く観えるということです。実際にその業務に就いてみると大変です。

勤務が、路線バスの始発から最終便バスまで、一人で対応です。
始発は朝の5時半、最終便は夜の23時ごろ、途中に休憩が有るとはいえ、拘束時間は18時間ほどにもなります。
早朝の始発に間に合うように家を出るためには、朝は4時起きです。
運転手仲間では独身は私だけ、他の運転手さんは全員妻帯者、ですから朝は奥さんが朝食とお弁当を用意していてくれますから、本人はギリギリまで寝て居られます。
私は独身ですから全てセルフサービス。朝ごはんとお弁当は自分で用意しなければ成りません。そんなに早起きして食事の準備は出来ませんので、朝食もお昼もコンビニ弁当が日常になりました。当然、夜の食事もコンビニ弁当で、夕方の休憩中にバスの中で食べます。


休憩は日中にも有りますが、基本的に終点地点での折り返し発車までの間が休憩ですが、休憩用の部屋がある訳ではありませんから、バスの車内で仮眠するしかありません。
夏はバスの車内は蒸し風呂です。
エアコン? いえいえ、休憩時間中にバスのエンジンは止めることを義務付けられています。
冬は社内温度が基本的に外と同じですから、真冬なら0度近くまでなることもあります。

バスの停車場所は駅の発着所か、終点の猿が出てくるような山の中です。
どちらもバスの外で仮眠なんて出来ません。

まあ陽気の良い時期だけならバスの客席で横になることは出来ます。
そんな不満を先輩に言ったら、「俺たち観光バスは仮眠はバスの底に有る、荷物室に段ボールを敷いて寝る」、のだそうです。
凄いですね。ネクタイ・ワイシャツ姿でサバイバルです。
そう言う訳ですから仮眠もままなりません。

しかも最終便の運航が終わるのは23時ごろ、それっから車庫に戻ってバスの掃除、会社の事務所に戻るのは24時ごろになってしまい、家に着いて風呂に入って、洗濯をしてパジャマに着替えれば午前1時にも、2時にもなってしまいます。
そして寝ても3時間ほどして起きなければなりません。
これが妻帯者なら家に帰れば奥さんがお風呂を沸かして、全てやっていてくれるので早い時間に寝られます。

独身の私は、たとえ週休二日制でも睡眠不足に陥ってしまいました。
他の運転手さんは三度の飯よりも運転が大好きな人たちばかりでした。
そんなですから少々の辛さなんかは、大好きな運転が出来るから平気です。
その証拠に、みなさん休憩時間にはバスのタイヤのメッキホイールをピカピカに磨いています。
息をハァ~って吹きかけて磨いています。
私はバスなんか磨く気には成らないのです。


バスの運転は皆さん、靴を脱いで靴下で運転することが暗黙の決まり事でした。
そのために運転席には土など無くて綺麗にしてあるのです。
そんなこと常識でしょ、っていう世界ですから。

でもそんな常識が無い私は、土足のまま運転席に座って運転してしまっていたのです。
そうしたら先輩たちに「貴様! この野郎~」。
宮﨑が乗った後のバスは汚れているとパワハラの対象に成り始めたのです。

民間バスの運転手さんは、ダンプ運転手からの転向が圧倒的に多かったのです。
そんな世界に私のような毛色の違う人間が治まる訳はなかったのでしょう。

パワハラは次第にエスカレートし、些細な事でもやり直しを命じられるようになりました。
最後には「お前! バス停をキチンと経由して走っていないだろう」とまで言われるようになってしまいました。
そんなことをしたらバス停で待っているお客さんが大変なことになってしまいます。そもそも路線バスは決められた運航路線以外を、勝手に走ることは法律違反になります。いくら出鱈目の私でもそれは有り得ません。

そんなパワハラが極みに達する頃には夜の睡眠も、ストレスで3時間ほどの睡眠時間でも眠れなくなってしまいました。
いくら夜眠れなくても、運転時には猛烈に眠くなるから始末は悪いです。

ある日運転中、ボーっとしていた私は、赤信号なのに交差点をそのまま突っ切ってしまったのです。
運が悪かったら大事故になる所でした。乗客も大勢載っていました。
このミスを私は社長に報告し自主退職を願い出ました。
しかし、社長は「そのくらいのことは僕が運転してもやっちゃうよ」と慰めてくれましたが、やっぱり辞めました。もう辞めたくて辞めたくて仕方が無かったのです。

バス会社を辞めた後も、先輩たちから「この野郎~~」と電話が掛かってきました。
私は地元から逃げるように静岡に引っ越したのです。



以下の項目は次回に。

■トラック配送の仕事に就く
(アクシデント続出)
■知的障害支援施設で働く
(運転手が支援員の仕事に配属)
■老人介護施設で働く
(猛烈なパワハラに遭う)
■運命を変える出会
(第七運への転換の女性)




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